「ぼたもち」と「おはぎ」
春のお彼岸に食べられている「ぼたもち」の由来は「牡丹餅」。春のお彼岸の頃は牡丹の花が咲く時期で、その時期に食べられることからこう呼ばれ始めました。一方、秋のお彼岸に食べられている「おはぎ」の由来は「お萩」です。どちらの花も漢方として知られていたことや、かつて赤色は魔除けの色とされていたため赤や濃いピンク色に魔を祓う効果を求めたそうです。
古来より日本人は、旧暦1日・15日と二週間に一度、仏壇や神棚のお供えものを変え、新しく祀るといった習慣がありました。この日は可能な限り良い物が神仏に祀られました。しかし昔は庶民の生活において、高価だった小豆やお米、砂糖はいつでもあるわけではありません。そこで1日と15日に毎回お供えするのではなく、お彼岸の時期にだけ、特別にぼたもちやおはぎを作りお供えしてそのお下がりを食べる習慣がうまれたと考えられます。
ぼたもちやおはぎといった甘いお菓子にするのは、あの世の人たちは甘い味を好むと考えられており、生きている人たちが亡くなった人の代わりに食べている、という考えがあったからです。お彼岸に関わらずお供えものに菓子が祀られるのはこれが理由です。
お彼岸とは、春分の日と秋分の日を挟んで前後3日間、計7日間を指しており、我々の住む世界である此岸(この世)と仏様の住む世界である彼岸(あの世)の境目があいまいになり最も近くなる日と考えられていて、故人との思いが通じやすくなる日であると言われています。お彼岸は、お墓参りをし、あの世にいらっしゃるご先祖様に感謝の気持ちを捧げ、この世にいる私たちの近況報告をする良い機会です。