新年にあたり景福寺の本堂の床にも新年らしいお軸を掛けさせていただいております。

『日出乾坤輝』

（日出でて乾坤輝き 雲収まりて山岳青し）慧覚禅師

（ひいでてけんこんかがやき　くもおさまりてさんがくあおし）

「太陽が出て、天地は光り輝き、雲も消え失せ、山々が青々と見える」

まさに初日の出を思い浮かべるような、お目出たい希望に満ちた言葉です。

乾坤(けんこん)というのは「天地万物」を表します。

本来この言葉は、仏が智慧の光でもって、無明の闇を照らし、真理をあらわにすることを、比喩的に表現されたものです。

これまで、雲のように煩悩がおおいかぶさっていたのが、真理を得ることによって一気に晴れ渡り、澄み切った心持ちになったことを表しています。

私達の普段の生活の中での疑問や悩みの解消ととらえてもいいのかもしれませんが、大事なことは、世界が輝いて見えるのは、実は、自分が輝いているのだと気づくことなのではないでしょうか。

本年も皆様にとって輝かしい希望に満ちた一年になることをご祈念申し上げます。

作者(筆者)　山田 無文(やまだむもん) (1900～1988)

臨済宗妙心寺派26代菅長。愛知県出身。妙心寺僧堂を経て天竜寺僧堂にて関精拙老師に嗣法。霊雲院住職、神戸祥福寺僧堂師家を勤め、花園大学学長勇退後、妙心寺派菅長となる。昭和63年遷化。世寿88歳。

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